書評/映画評

朝が来る ~胸が押しつぶされそうになった

映画『朝が来る』。魂が揺さぶられた。
そして、胸が押しつぶされそうになった。

しかし、かなり精神的にキツい映画である。
見ていて思わずつらくなるシーンが連続する。
 
「特別養子縁組」という制度。
生まれた直後に、子供を養子として引き取る。

「養子をもらう夫婦」と「養子に出す母」の話が対称的に描かれる。

「養子をもらう夫婦」の話というのは、今までもあったと思うが、
「養子に出す母」の心理を精緻に映画いた作品は珍しい。
「母」といっても、本作では「中学生」の少女である。 
 
「JUNO/ジュノ」という高校生が妊娠し、出産する物語があった。
「JUNO/ジュノ」は、ティーンエイジャーの出産という深刻なテーマを、
軽妙に、コミカルに描いていたが。

しかし、本作ではそれとは全く対象的に、
沈痛に、そして重苦しく描いている。

「子供ができずに、不妊治療などで苦労する夫婦」
と「中学生にして子供が出来てしまいどうにもならない中学生」
という凄い対比。

見ていて本当につらくなる。
しかし、こうした苦悩を抱えている人が現実に存在することは、
紛れもない事実であり、そこから目をそらすこともできない。
 
見ていて本当につらくなる映画であるけども、
「出産」と「子育て」の大変さと同時に、
子供を育てることの「喜び」も対で描かれている。
なので、そこに圧倒的な「救い」がある。

 
時にドキュメンタリー的な手法も入れながらの演出や、
時系列に変化を持たせたミステリー調の作りは、
「重苦しい作品」を最後まで集中力を途切れさせないで
見せる工夫となっている。

また、永作博美の迫真の演技。
そして、中学生にして妊娠と難しい役を演じる蒔田彩珠も魅力的。
 
娯楽映画が好きな人にはお勧めしないが、
魂が揺さぶられる問題を作を見たい人には格好の一作。
「見ていて辛くなる」度は、『ミッドナイトスワン』に匹敵する。

『朝が来る』 樺沢の評価は・・・ ★★★★☆ (4・4)

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