書評/映画評

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーと天気の子の奇妙な一致

映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリーDRAGON QUEST YOUR STORY』
を見ました。

『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』最近では『アルキメデスの大戦』を
手掛けた山崎貴総監督のCGは、見ごたえがあります。

街の全景や、風景が美しい。
ドラクエの世界を、こうした美しいCGで見られる
ということは、ファンにとっては、エキサイティングな体験でしょう。

声優陣も豪華で、佐藤健、有村架純、坂口健太郎、波瑠、山田孝之、
安田顕、山寺宏一、吉田鋼太郎などなど、旬の俳優を総動員している。

というか、ドラクエのファン向けの「ファン・ムービー」的な要素が強い。
ドラクエをプレイしたことのない人が見ても、全くつまらないと思います。

ラスト10分ほどに、ドンデン返しが仕掛けられているわけですが、
ここがファンの間でも賛否両論が真っ二つに分かれています。

私は、賛成派です。

このまま、ふつーにドラクエのストーリーをなぞって終わってしまったら
どうしよう、とハラハラしていましたから、ある意味、目が覚めた!!

一方で、ドラクエの熱烈のファンは、
「ふつーにドラクエのストーリーをなぞる」だけで良かったのでしょう。
だから、自分の世界観を汚されたかのような不快感を持ったのでしょう。

「大人になれよ!」のテーマと、
「子供らしさを貫いてどこが悪い」という対立は、
実は『天気の子』のテーマにそのままオーバーラップしているところが
興味深い。

本作に不快感を持った人は、
「子供らしさを貫いてどこが悪い」派ということ。

『天気の子』でも、最後の、大人になれない穂高に
共感を持った人は多いはずだ。

ひょっとして、「幼児的万能感」を貫き通し、
それを強引に実現してしまう、実現できてしまう時代が
来ているのかもしれない。

昔、「社会なんかに出ないで、人とも会わずに、
パソコンの前で全て仕事が完結できたら良いのに・・・」
と思ったものだが、現在は、それをほぼ実現できている。

そう考えると、私なんかは、ネットやYouTubeを駆使して、
「幼児的万能感」を現実化した一人なのかもしれないけど。

ゲームに使われるのか、ゲームを能動的娯楽として楽しむのか?
ネットに使われるのか、ネットの奴隷となるのか?

それは、『インプット大全』で私が挑戦したテーマにも、
見事にオーバーラップしてくる。

『天気の子』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』『インプット大全』。
この3つの作品に、共通して浮かび上がるテーマ。

それは、偶然ではない。
完全なる必然。
時代を捉えているから、たまたま重なったのだろう。

そんな、テーマを中心に映画を見直すと、
作品がおもしろいとか、おもしろくないとかとは全く別な
世界が見えてくる。

それが、映画を能動的娯楽として楽しむということなんだ。

樺沢の評価は・・・・・・ ★★★☆ (3・5)

追伸
「能動的娯楽」の意味がわからない方は、
拙著『インプット大全』をお読みください。

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