映画『運び屋』。
素晴らしい! 魂が揺さぶられました!!
麻薬の「運び屋」の話、というよりも
人生の最後に何をするのか?
という話。
90歳の園芸家のアールが、
自分の人生で「やり残し」たことと、初めて真摯に向き合う。
それは、絶縁状態の「娘」と和解すること。
娘の結婚式にも出ずに、園芸の品評会を優先。
「仕事」のために生きてきた、仕事人間のアール。
90歳の老人が、ひょんなきっかけで
麻薬の「運び屋」をするという意外性。
いつ捕まるのかというクライム・サスペンスの「緊迫感」と
娘と和解できるのかというヒューマンドラマの「緊迫感」が、
ダブルで押し寄せます。
ヒューマンドラマを予想していただけに、
序盤から、ピリピリとした緊迫感が続く、
意外なおもしろさがありました。
子供や家族をほったらかしにしていた罪悪感を償う話。
それは、5人の女性との間に7人の子供を持つ
クリント・イーストウッド自身の「懺悔」かもしれません。
ちなみに、イーストウッドは『人生の特等席』(2012年)に主演している。
大リーグの伝説的なスカウトマンが、長年確執があった娘と「和解」する作品です。
2008年の監督・主演作「グラン・トリノ」で事実上の俳優引退宣言をしていた
イーストウッドが、4年ぶりに銀幕復帰を果たしたドラマ。
彼にとって、重要な作品であるからこそ銀幕復帰したのでしょう。
人生で何を重視するか。
どこに時間を配分すべきか。
改めて考えさせられます。
できれば90歳になる前に、
いや人生の早い段階で、それは「修正」すべきでしょう。
この主人公の枯れて倒れそうな老人(イーストウッド、88歳)が、
この重厚な作品の監督とは信じられません。
この年にして、このエネルギー値の高さ!!
自分も、90歳になっても、エネルギッシュに本を出していきたい!
と勇気をもらいます。
この映画は、いろいろな見方ができる映画です。
私にとっては、「後悔のない人生を生きるには?」という
「生き方」のテーマが、ズシリと響きました。
『運び屋』 樺沢の評価は・・・ ★★★★☆(4・6)
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