書評/映画評

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル〜大ヒットした映画がおもしろいとは限らない

いつも絶賛系の「超おすすめ映画」を中心に紹介していますが、

たまには「辛口の映画批評」をお届けします(笑)。

 

世界興行収入記録9億ドル超えの映画『ジュマンジ』。

ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの独自製作・配給作品としては、
『スパイダーマンシリーズ』の記録を越えて
歴代1位の興行記録となりました。

 

大ヒットした映画はおもしろいのか?

というと、必ずしもそうとは言えません。

 

大ヒットするということは、普段映画を見ない人が映画館に足を運ぶ。
普段映画を見ない人が、「おもしろい」と思う作品であるということです。

 

本のベストセラーも、滅多に本を買わない人が買わないと、
100万部という数字には絶対なりません。

 

つまり、大ヒット映画も、大ベストセラーも、
「一般受けしやすい」という共通点はあるわけですが、
大ヒット映画が、私のような月10本見る映画オタクにおもしろいのか?
大ベストセラー本が、私のような月20冊以上読む読者家におもしろいのか?
というと、そうでないケースの方が多いはずです。

 

ということで、
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、
それほど期待したわけではありませんが、
その「期待しない通りの映画」というのが、率直な感想です(笑)

 

本来の自分の性格と真逆のプレイヤーとなって、
他のキャラを演じることで自己成長していくという展開は、
心理学的には結構おもしろい!

 

と序盤では思いましたが、
テレビゲームのありがちの展開をそのまんまパロディにしているので、
あまりにも予定調和で、展開に意外性がゼロなのです。

 

昔のジュマンジのワクワク感は全くありません。

 

この映画から得られる重要な気付きは、
アメリカ人は「学園モノ」が大大大好きなんだな、ということ。

 

実際、この映画は、アクション映画というよりは、
「学園コメディ」と言ったほうが正しいでしょう。

 

完全に学園もののノリでストーリーが展開しますが、
日本人にとってこのノリはついていけない。

 

ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラックは好演していて、
ジャック・ブラックの演技は笑いなしでは見られない。

 

というか、彼が重要な役で登場している、ということで
やっぱり基本「コメディ」なのです。

 

ということで、この映画がアメリカで大ヒットしたのは、
「学園コメディの変化球版だから」と、
と冷静に分析するわけです。

 

ということで、「学園コメディ」を見たい人にはおすすめの映画。
アクション映画を期待すると、かなり期待はずれになると思われます。

 

樺沢の評価 ★★★

追記(2018/04/12)

『ジュマンジ』の辛口記事を書いてみたが、実は結構おもしろい部分もある。

本来の自分の性格と真逆のプレイヤーとなって、他のキャラを演じることで
自己成長していくという展開。心理学的は「ロールプレイ」という。
自分ではない役割を演じることで、「気付き」や「発見」を得るという手法。

主人公たちは、
「ジュマンジ」というロールブレイング・ゲームの主人公になる中で、
心理学の「ロールプレイ」をすることで、
「気付き」を得て成長して、他人の弱さに共感して、
自分の強みに気づいていく、という物語。

この部分にフォーカスして見てみると、
意外とよく出来た映画にも見えてくる。


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