映画『正体』。
魂が揺さぶられた。
日本中を震撼させた殺人事件の死刑囚・鏑木が、逃亡した!
3年間の逃亡生活の末に明らかになる、その正体とは?
人物描写が丁寧で、
主人公以外の一人一人の人間の存在感。
そして、その「思い」が、
非常にリアルで、私たちに迫ってきます。
殺人犯・鏑木の正体は?
それは、だいたい想像がつきます。
そうではなく、
それを取り巻く人々。
鏑木を追い詰める刑事。
潜伏していた鏑木の素顔を知る人々。
深刻な事件を視聴率稼ぎのネタとして報じるマスゴミ。
そして、マスゴミ情報に踊らされる一般市民。
そうした、周囲の人たちの「正体」が、
最後に明かされていく。
それは、人間の本性。
“人間の「正体」”と言ってもいいでしょう。
人間の「正体」は、
「善」なのか「悪」なのか?
いや、「善」だと信じたい・・・。
でも、本当か・・・。
深い。
哲学的なテーマも、突きつけられます。
私は、本作を見て
アドラー心理学の「信頼が先」
という考え方を思い出しました。
まず自分から信頼しない限り、
信頼されない。
人間関係を構築する上で、
とても重要なこと。
鏑木は、潜伏先で、
人からの信頼を勝ち得るが、
その理由を考えて欲しいのです。
心を動かす
圧倒的な人物描写、そして人間描写。
『余命10年』、『ビレッジ』、
『青春18×2 君へと続く道』の藤井道人監督。
さすがです!!
ハズレなしです!!
ちなみに、
『青春18×2 君へと続く道』は、
樺沢の2024年の年間ベスト3に
入りそう・・・。
そして、この重厚なテーマを果敢に演じた
横浜流星、吉岡里帆が素晴らしい!
特に、吉岡里帆には、泣けた!
あくの強い吹っ切れた役ばかりの山田孝之(刑事役)だが、
本作では、個性をおさえた演技が非常に新鮮。
魂を揺さぶられた!
良い映画を見られて良かった。
映画『正体』 樺沢の評価は・・・・・・★★★★☆ (4・6)
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