役所広司主演、西川美和監督。
映画『すばらしき世界』が、素晴らしい。
過去に殺人を犯し、
人生のほとんどを刑務所の中で過ごしてきた三上。
出所したものの、働きたくても仕事が見つからない。
さらに、持病の高血圧で、無理に動くこともできない。
八方塞がりの三上に、手を差し伸べる周囲の人たち。
最初は、心を閉ざしていた三上だが、
弁護士で身元保証人、橋爪功。
近所のスーパー店長、六角精児。
生活保護の担当者、北村有起哉。
テレビマンの津乃田（仲野太賀）。
心優しき人たちの支え、応援によって、
新しい仕事も見つかり、社会復帰への一歩を踏み出すが・・・。
本作は、いろいろな見方ができる。
私は、「自ら心を開いて、自分から相談していく」ことの
重要性のテーマが、心に響いた。
それは、そのまま拙著
『精神科医が教える ストレスフリー超大全』
（ダイヤモンド社、樺沢紫苑著）
のテーマでもある。
困ったり、悩んだら、誰かに相談しよう。
友人、家族、身近な人、専門家。
誰でもいい。
相談すると、
すぐには問題は解決しないかもしれないが、
気持ちは楽になる！！
そして、今よりは、間違いなく、
問題解決の方向へと進み出す。
ムショ帰りの男への社会的偏見と風当たりの強さ。
それは、「ムショ帰りの男」という限定した問題ではなく、
「メンタル疾患を持つ者への偏見」も同様だし、
様々な社会的弱者への偏見と、
広げて考えることもできよう。
なんという「生きづらい社会」。
しかし、あなたを気遣い、支えてくれる人が、
あなたのそばにいる！！
しかし、それは最初から、
笑顔で「優しい」態度で接してくれるわけではないので、
非常に気付きづらいのです。
六角精児演じるスーパー店長は、
最初、三上を「万引き」したと誤解する。
まさしく、前科者への偏見である。
しかし、三上の話を素直に聞き、
三上の支援者、応援者に変わっていく。
生活保護の担当者、北村有起哉。
彼も、最初のシーンでは、
「反社（反社会的勢力）」には、生活保護は出せない
と、ものすごく冷たい対応を取ります。
しかし、仕事を探し始める三上に、
こういう制度も使えますよと、
親身に助言するようになっていく。
テレビマンの津乃田（仲野太賀）も、
最初は「殺人犯の男」を茶化すようなテレビ番組の企画の
カメラマンを勤めていたが、
三上に共感し、テレビの企画自体を断り、
三上の応援者へと変わり、「母親探し」にも協力する。
橋爪功の弁護士は、最初からウェルカムな態度だったが、
それ以外の三上を応援してくれた人たちは、
最初からウェルカムな態度ではなかった。
しかし、三上が「心を開く」のに呼応するように、
三上の応援者へと変わっていく。
重要なのは、三上が自ら「心を開いた」こと。
そして、「支援や援助」を周りに、求めはじめたことである。
この自分から「心を開く」というのが、とても重要。
『ストレスフリー超大全』では、「自己開示」
という言葉で解説していますが、
自分から心を開かない限り、
「拒否」の姿勢を示している限り、
誰も協力も支援もしてくれない。
心を閉ざしている人に対して、
協力も支援も、しようがないのです。
実際、精神科の患者さんのほとんどは、
心を閉ざしているし、心がオープンになるのに、
３ヶ月くらいはかかるのです。
その間に病院に来なくなる人も多いのです。
「心が閉じている」のを、
周囲の人は、無理やり開くことはできません。
ですから、最初は自分から心を開くしかない。
勇気を持って。
そうすると、
いろいろな助けが得られるようになってくる。
現状、少しずつ変わり出す。
私たちの周りには、実は、
「すばらしき世界」が広がっている。
しかし、自分で、心の「扉」をかたく閉じている限り、
「すばらしき世界」に入っていくことはできないのです！
なので、自分から心を開き、
自分から相談し、助けを求めていく。
「相談する」ことで、
はじめて人間の温かいつながりに満ちた
「すばらしき世界」に入っていくことができる！！
三上は、最初は心を閉ざし、
「怒り」を表明し、時に暴力的になっていたものの、
少しずつ心を開いて、周りの人たちと、
温かい人間関係を築けるようになっていきます！
心を開く勇気。
相談する勇気。
最初の一歩を自分から踏み出さないかぎり、
「つながりの幸せ」（オキシトシン的幸福）を
得ることはできないのです。
ということで、
「心を開く勇気」「相談する勇気」を、
１人でも多くの人に持っていただきたい。
映画『すばらしき世界』を見ると、
そんな勇気が湧いてくると思うのです。
【全動画プレゼント】
あなたの悩みの９５％は解決する。
YouTube「樺チャンネル」の全動画2159本のリストをプレゼント中。
今すぐダウンロードしてください。
https://canyon-ex.jp/fx2334/z6j0NW