書評/映画評

急に具合が悪くなる ~生きる、病む、死ぬ。 そして、癒やすこと。癒やされること。

魂が揺さぶられた。
映画『急に具合が悪くなる』。
 
生きる、病む、死ぬ。
この避けられない現実を、どう生きていくのか。
チョー骨太なテーマが描かれます。
 
人とのつながり。人との癒やし。
「癒やし」「癒やされる」関係性。
「寄り添う」とは、どういうことか?

 
イタリアの精神病院開放の話が軸になっていいて、
精神科医として、絶対に見逃してはいけない話でした。
 
話す、つながる、触れ合う、ハグ、笑顔、マッサージ、
ボランティア、アーシング。

「癒やし」につながる様々な行動が、
これでもか、と描かれます。
 
人間関係の悪化、仕事のプレッシャー、孤独(さびしさ)、
夜更かし、睡眠不足、タバコ、お酒、インスタント食品。

「癒やし」と対比するように、
健康に悪いこともオンパレードで描かれます。
 
ストレスは避けられないし、健康に悪いことも、
時にはやってしまう。

でも、人とつながり、
支えあい、互いに癒やすことで、
私たちは生きることができるのだ!
生きる勇気がもらえるのだ!
 
認知症患者がよくなるのか?
と思う人もいるでしょう。
しかし、良くなることは、間違いなくあります。

私も昔、はじめて精神科の「医長」になった時、
「病棟開放」に挑戦したことがあります。
 
当時の私は、
この映画の主人公アナと同じ様に、
理想主義で自信過剰でした(笑)。
 
看護師の猛烈な反対を受けながら、
芸術療法(ミラージュ療法)を取入れ、
開放的な処遇を増やし、
認知症患者に対しても、親身に接するよう
変えていきました。

退院不能と言われた患者さん3人が、
別人のように改善して退院してから、
病棟のスタッフの対応ががらっと替わり、
協力的になりました。
2年かかりましたが、
「病棟開放」はまずまずの成功を収めました。
不可能は、可能になるのです。
  
ということで、自分の過去がありありと
描き出されているような不思議な感覚。
 
人を信頼し、自分を信頼することで、
状況は変えられるのです。
簡単ではないけども。

 
ということで、
精神医療の関係者、全員見るべき。
いや、医療、介護、福祉に関する人、全員見るべき。
そして、将来、病気になる人。将来、死ぬ人も、
全員見るべき映画。

 
生きるってたいへんだけど、
死ぬときに「この世界は最高」と言える人生は、
素晴らしいと思います。

『急に具合が悪くなる』樺沢の評価は・・・・・・★★★★☆(4・8)

今年見た映画で、暫定1位です。

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