書評/映画評

ラスト・サバイバー ~デストピアに「居場所」はあるのか?

謎のパンデミックで人口の大半が死滅した世界。

愛犬や隣人とともに地方空港で
生き抜くパイロットが、
無線から聞こえた謎の声に導かれて
未知の空へ飛び立つ・・・。

リドリー・スコット監督の新作
『ラスト・サバイバー』が、
ネット上では酷評され、
北米では、興行収入が記録的な大コケ。

作品が悪いのか・・・というと、
私は、「映画会社のミスリード」
と思います。

>映画界の巨匠リドリー・スコットが描く
>絶望広がる終末世界で見いだす、
>わずかな《希望》とは・・・

キャッチコピーは秀逸だが、
本作から想像、期待されるイメージと
本編のギャップが、
観客の不満を生んでいるのでしょう。

「リドリー・スコット監督」
というと、どの作品を想像しますか?

私は、
『エイリアン』と『ブレードランナー』です。

『グラディエーター』というのもあります。

『ブレードランナー』と連続するデストピア世界
を期待する人は、ガッカリしてもしょうがない。

本作は
『ブラックホーク・ダウン』や『オデッセイ』。
リドリースコット監督の後半生の作品の
延長線上にあります。

特に、火星に取り残された宇宙飛行士
(マット・デイモン)が必死で生き抜く
様子を詳細に描いた『オデッセイ』と
共通点も多いのです。

「生きる/生き残る」とは何か?
「幸せ」とは何か?
「居場所」とは何か?

そんなことが、問われています。

「居場所」は、探さなくてはいけない。
「居場所」は、作らなくてはいけない。
誰かが用意してくれるわけではない。

「生きる」「幸せ」とは何か?

その答えは、樺沢がよくいう
「今」「今日一日」の幸せを味わえ!
に通じていきます。

戦闘シーンもありますが、意外と地味。

ある意味、リアリティのある戦闘シーン
ともいえるのですが、
「つまらなかった」という人は、
もっと派手なアクションを期待したのかも
しれません。

コーヒーを飲む。
音楽を聴く。

そんな日常的な行為が、
実はとんでもなく貴重であり、
幸せなことなんだ、という気付き。

つまり、映画の本質は、
淡々とした日常に幸せを感じる男を描いた
役所広司主演の『PERFECT DAYS』にも似ている。

『ブレードランナー』を期待したら、
『PERFECT DAYS』だった。

それは、ガッカリするでしょう。

『ラスト・サバイバー』について
「素晴らしい!」という感想を書く方もいますが、
緻密な描写で人間心理を描く『PERFECT DAYS』が
好きな人は、かなり楽しめるはず。

映画そのものの出来よりも、
観客が「何を観たかったか」のギャップで
映画の評価が変わってしまう
のです。

『ラスト・サバイバー』
樺沢の評価は・・・・・・★★★★(4・2)

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