今年初の映画鑑賞、
テレビ放映の『風の谷のナウシカ』を見ました。
私の記憶が正しければ、劇場で見て以来、一度も見ていないので、
３５年ぶりの鑑賞ということになります。
ディテールはかなり忘れていて、
新作を見るような気分で楽しめました。
今見ても、色褪せない。
むしろ、いろいろなものを予見している部分もあり、
素晴らしい作品であることを再確認しました。
例えば、
王蟲（オウム）の大群が「風の谷」に向かって暴走するシーンで、
「みんな高い所へ逃げろ、急げ！」と
高いところへ避難するシーン。
東日本大震災の津波から逃げるために、
高いところに登ったという話と、
あまりにもそっくりで、背筋がぞっとします。
さて、私が一番興味を持ったのは、
ナウシカが、「蟲（むし）」や「動物」たちと
上手にコミュニケーションをとるシーンです。
序盤部で、ナウシカが、
野生のキツネリスであるテトと初めて会うシーン。
怯えたテトがナウシカの指を噛みますが、
ナウシカは痛みを我慢し、
「ほら、怖くない、怖くない。
ほらね、怖くない。ね。
怯えていただけなんだよね」
と、テトの恐怖心を取り除きます。
また序盤の、暴走する王蟲に対して。
「王蟲、森へお帰り。
この先は、お前の世界ではないのよね。
ねえ、いい子だから。」
と、人々が恐れる王蟲に対して、優しい心で接するのです。
後半の王蟲の大暴走シーンでも同様です。
ナウシカは、大暴走する無数の王蟲の何に、
身を呈して向かい合い、王蟲の中に呑み込まれます。
しかし、彼女の敵意のない、優しい心に王蟲が
共感したのか・・・。
王蟲は、死に瀕していたナウシカの傷を、
触手の不思議なパワーで癒やすのです。
テトや王蟲に対して言葉で語りかけて、
それが通じていく。
ナウシカは、ドリトル先生のように、
動物や蟲の言葉を理解し、話すことができたのでしょうか？
それは、違うでしょう。
では、ナウシカの「思い」は、
なぜ動物や蟲に通じたのか・・・。
そう、これこそが、
ノンバーバル・コミュニケーション
非言語的コミュニケーションなのです。
『アウトプット大全』にも書きました。
コミュニケーションにおいて、
大切なのは、何を話すのか、言葉の内容ではなく、
どのような口調、強弱、表情、アイコンタクト、態度、物腰で話すのか。
言語以外の全ての要素が「非言語的コミュニケーション」です。
ナウシカの「愛」「優しさ」「思いやり」、
そうしたやわらかな感情が、
彼女の言葉や、表情、物腰に表現され、
それが動物や虫（王蟲）にまで伝わってしまう。
それは、「愛のパワー」というよりは、
「伝えたい！」というコミュニケーションのパワー。
テトに噛まれて、ナウシカの指には血がにじんでいましたが、
それでもナウシカは顔色一つ変えませんでした。
「痛い！」と言ってしまうと、
それは「怒り」や「憤り」といった
ネガティブな感情を相手に伝えてしまうから。
それを表情に出さなかったからこそ、
ナウシカはテトの「怯え」を取り除くことができた！！
「愛」や「優しさ」を持っている人はたくさんいると思いますが、
それが相手に伝わらないと、相手の気持ちや行動は変わりません。
自分ひとりの心の中に秘めていても、
何も変わらないのです。
「愛」や「優しさ」、そして「思い」を
どのように相手に伝えればいいのか・・・
そのヒントが「ノンバーバル」（言語を超えた要素）。
軍事力にものを言わせるトルメキア。
ペジテを襲撃するトルメキアなど、
「言葉」が通じる人間同士は、殺し合い、戦争をしているという皮肉。
『風の谷のナウシカ』といえば、
「自然と人間の共生」「環境問題」を描いた作品と言われます。
もちろんその通りなのでありますが、私はもっと「人間」の部分。
人の「思い」というものは、どのように伝わるのか。
伝えることができるのか。
その答えは、ナウシカが実行しているように、
口調、表情、アイコンタクト、態度、物腰、行動など、
全ての非言語情報をアウトプットすることによって伝わっていく・・・。
「熱い思い」は、人間だけではなく、動物や異型の生物（虫）まで
伝わっていく。
そんな、壮大なコミュニケーションのドラマとしてみることで、
より一層、映画が楽しめると思います。
ノンバーバルに自分の思いを伝える。
今日から、明日から。すぐにも実践できることです。
是非、やっていただきたい。
あなたの「思い」は、たくさんの人に伝わっていきます！！
追伸
「非言語的コミュニケーション」。
具体的な実践方法については、
拙著『アウトプット大全』をお読みください。
『アウトプット大全』（樺沢紫苑著、サンクチュアリ出版）
この１冊で 世の中の悩みの９割が解決する！！
精神科医・樺沢紫苑の最新刊『人生うまくいく人の感情リセット術』（三笠書房）
以下のリンクより最初の３２ページが無料で読める「無料版」をダウンロードできます。
↓↓↓↓↓↓
