書評/映画評

90メートル ~逆境は力になる!

『90メートル』が、素晴らしかった!

ヤングケアラーの現実を描き出す作品。
というと、難しく感じられますが、
一つの青春のあり方を、
精緻に、リアルに、生々しく描いた傑作です。

難病の母親の看病をする、
高校3年生の佑(たすく)。

介護による睡眠不足で授業中も居眠りばかり。
打ち込んできたバスケ部も退部することに…。

友人たちは、カラオケで楽しんでいるのに、
自分は家に直帰するしかない。

本来なら、青春を謳歌するはずの高校時代。
彼は、「親の介護」をしなければならない。
成績もひどく、志望校にも入れそうもない。

ヤングケアラーは、自らの青春時代を
犠牲にして、苦しみながら、親の介護をしている!

という話かと思いきや、
そうでないのです。

それが、本作の予想不能な驚き。
というか、凄いところ。

ALSを発症した母親。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)というのは、
ホーキング博士が患ったことでも知られますが、
全身の筋肉が徐々に痩せて、
最終的に呼吸すらできなくなる
最も厳しい難病のひとつ。

自分の親が、そんな病気になったとしたら・・・。
想像するのも怖ろしいほどですが、
高校生の佑が、その現実をどのように
受け止めていくのか。
「受容」の心理プロセスが精緻に描かれます。

子どもの頃に、虐待やネグレクトを受けた子は、
将来、どのようになるのか?

心に傷を残したまま、悲惨な人生を
おくる人もいますが、
一方で「外傷後成長」という言葉があります。

「外傷後成長」とは、つらく苦しいトラウマ体験を
きっかけに、以前よりも精神的に高いレベルへ
成長する心理的変化のことです。

本作では、非常につらく、厳しく、避けがたい状況に
直面した高校生が、
その現実と立ち向かい、受け入れ、成長していく。
非常に前向きな成長物語であり、青春映画なのです。

逆境を成長に変える力。
それが、真のレジリエンス
(回復力、心のしなやかさ)です。

そして、彼(と母親)を支える人たちが温かい。
ケアマネジャーやヘルパーの人たち。
そして、バスケ部のマネージャーの杏花(きょうか)。

1人では乗り越えがたい逆境も、
人の支えがあれば、
乗り越えていけるかもしれない。
そんな希望にあふれています。

主人公の佑を演じるのは、
宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』の
主人公・眞人役の声を演じた山時聡真。

母の美咲を演じる菅野美穂は、
ALSによる発生の異常や筋肉の衰えを、
非常にリアルに、
迫真の演技で演じています。

そして、
>母親を看病した経験を持つ
>『か「」く「」し「」ご「」と「』の中川駿監督が、
>自身と自身の母親を重ね合わせながら、
>半自伝的作品として描いた。
というのは、映画を見てから知りました。

昨年公開の
『か「」く「」し「」ご「」と「』。
高校生の心理的な機微を描いており
大好きな作品だったので、
「なるほど」と腑に落ちました。

中学生や高校生が、親の介護をしたている
ヤングケアラーの現状を世の中に知らせる映画。

と思いきや、その側面ももちろんありますが、
その前に「一人の高校性の青春物語」として
完成度高く描いている。

そこが、中川駿監督の凄いところでもあり、
私が本作に魅了されるポイントでもあります。

「社会派映画」と「エンタメ」は
両立しづらいのですが、
そこを絶妙なバランスで描いているのです。

映画『90メートル』、
1人でも多くの人に見て欲しい作品てす。

追伸
「90メートル」の意味は、
映画を最後まで見るとわかります。
そこで、グッときます。

映画『90メートル』樺沢の評価は・・・・・・★★★★☆ (4・8)
                    (年間ベスト10水準)

まずは、予告編だけでも、ご覧ください。
https://youtu.be/CMyunWoIq7Y

【全動画プレゼント】
あなたの悩みの95%は解決する。
YouTube「樺チャンネル」の全動画6154本のリストをプレゼント中。
今すぐダウンロードしてください。
https://canyon-ex.jp/fx2334/z6j0NW

コメントを残す

*

CAPTCHA