おもしろすぎた！！
『インサイド・ヘッド２』
私たちが感じる様々な感情が
可愛らしいキャラクターに擬人化されて、
人間の脳の仕組み、心の仕組みが、
わかりやすく描かれている！
前作のヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカの
５キャラに加えて、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシ
の４キャラが新たに登場。
子どもの頃は、楽しい出来事を素直に喜び、
つらい出来事を素直に悲しんでいたのが、
思春期になると過剰に不安になったり、
他の人に過剰に嫉妬したり、
皮肉な態度をとったり、
思ってもないことを言ってしまう。
そんな複雑な思春期の心理を、
新しいキャラクターの登場によって、
見事に視覚化、ビジュアル化しているのです。
それも楽しく、わかりやすい。
カラフルで、見ていて飽きない世界観で。
実際に心理学者が監修してるだけあって、
心理学的「あるある」の連続です。
実に正しい解釈でつくられているなあ、
と精神科医の私にとって共感の嵐。
見ていて、ドンドン引き込まれました。
私たちの心の中には、
矛盾した感情が同時に存在することがあります。
心理学的には、「アンビバレント」と呼ばれます。
そうした葛藤状態になると、
自分がわからなくなったり、
不安になったりします。
本作を見ると、
複数の感情がぶつかり合いながら、
互いに牽制しながら、
折り合いをつけていく。
つまり、矛盾する感情はあっていいし、
ぶつかり合うのは「当然」と安心できるのです。
ヨロコビだけではなく、
カナシミ、イカリ、シンパイなど、
マイナスの感情もあっていい！
いや、絶対に必要なんだ！
ということに、小学生でも気付けるのです。
「難しい」内容を、小学生でも理解できるように
落とし込めるって、本当に凄いこと。
私のYouTubeへの相談メール。
「悲しみ」「苦しみ」「不安」「怒り」「恐怖」
などのマイナスの感情をなくすにはどうしたらいいですか？
という質問が毎日のように届きます。
「ネガティブ感情も、あなたの一部なのです。
そこを責める必要はない」と説明しても、
なかなか理解されません。
本作に登場する、
カナシミ、イカリ、シンパイなどのキャラは、
いない方がよかったのか？
絶対にそんなことはないはずです。
「感情」それ自体は、悪者ではないのです。
あなたの人間性を彩る脇役たち。
そう考えると、カナシミ、イカリ、シンパイ（不安）な感情に、
一喜一憂する必要などないのだ！
と気付けるはず。
本作の準主役は、
新キャラの「シンパイ」です。
「不安」と言い替えてもいい。
このキャラの役割から、
「心配・不安」とは何か？
というものが、よくわかるのです。
未来に起きるマイナスな出来事を、
とにかく様々なパターンで予測して、心の準備をさせる。
心配や不安は、私たちが生きていく上で、
絶対に必要な感情なのです。
ただ、
シンパイが暴走するのはよくありません。
クライマックスのシンパイが暴走するシーンでは、
ライリーがパニック発作を起こす寸前
のような状態になります。
いろいろな感情があっていい！
そのバランスが、とても大切なのです！
クライマックスでは、
「私はダメ」と「私は善い人」という、
相反する言葉が激突します。
これは、「自己否定」と「自己肯定」
のぶつかりあいを象徴します。
思春期は、多くの場合「自己否定」が強まるのです。
実際、ストーリー上も、そうなっていますが、
そこでどうやって「ポジティブな自分を立て直すのか」。
それは、思春期における心理学的な課題、テーマなのです。
それが、映画のクライマックスにすえられているのは、
凄いなと思いました。
人間存在の本質が描かれる、このクライマックスに
涙がボロボロ流れました。
小中高生が、
本作を見て何を感じるのかわかりませんが、
このような心理的葛藤を乗り越えるヒントが
得られるとするならば、
素晴らしい作品ではないか、と思うのです。
頭の中をカラフルに視覚化して見せてくれる想像力。
そして、それをビジュアルとして体現している凄さもあります。
大人も子ども楽しめる作品。
アニメーション史上、世界歴代No.1オープニング記録！
を達成したのも納得です。
思春期のお子さん、
そして思春期のお子さんを持つ両親には、
特に見て欲しい作品。
『インサイド・ヘッド２』樺沢の評価は・・・・・・ ★★★★☆ （４・７）
『インサイド・ヘッド２』予告編はコチラから
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