書評/映画評

「問い」を立てると、映画理解が深くなる 映画『オークストリートの異変』

『オークストリートの異変』が良かった!
古き良きハリウッド映画を彷彿とさせる。

古き良きといっても、すごく昔のハリウッド
というわけでもなく、
私が映画に夢中になっていた10代の頃。

妙に懐かしさを感じさせます。

夫婦仲が不仲で離婚寸前の
微妙な夫婦。
(ユアン・マクレガーとアン・ハサウェイ)
そして、2人の子供たち。

中流家庭の住宅街に、
突然、恐竜が出現しパニックに陥る。
家族が力を合わせて、その危機を乗り切る・・・。

ストーリーは単純ですが、
細かな描写が良くできているのです。

【以下、ストーリーの記述とネタバレがあります】

▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ 
 
なぜ、舞台が80年代のアメリカなのか?

そこを考えると、
本作のおもしろさが倍増します。

本作は、70年代頃に流行った、
動物が巨大化する動物パニックもの
を彷彿させるのです。

しかし、70年代、80年代の映画には、
リアルな恐竜は映画には登場しません。

1993年の『ジュラシック・パーク』で、
リアルな恐竜の動きに度肝を抜かれた!

だから、80年代の映画には、
リアルな恐竜は出ていないのです。

つまり、
80年代のアメリカの街並みに
恐竜が出現する!
というのは、ありそうで、
なかったパターンなのです。

なんで80年代の舞台設定なんだろう?
何か「懐かしい」なあ、と
それを考えながら、ずっと見ていきます。

郊外の住宅街の街並み。
子供たちが自転車に乗って走り回るシーンは
『E.T.』を思い出します。
というか、『E.T.』そのものです。

恐竜がいつ現れるのか、というハラハラは
『ジョーズ』や『ジュラシック・パーク』
にも通じるし、音楽もスピルバーグ作品っぽい。

ということで、
スピルバーグ作品へのオマージュ、
というか「リスペクト」が満載なのです。

長女がカール・セーガンの「コスモス」
に傾倒するエピソードや、
人物の服装などから1980年代前半
だろう・・・と予想できますが、
一体、何年が舞台なのだろう?

と思って見ていると、
最後の方で舞台設定が「1982年」と明かされます!

なななんと・・・
それってスピルバーグ監督の『E.T.』の
公開年じゃないですか。

『E.T.』っぽい、じゃなくて確信犯ですね。
『E.T.』へのリスペクト。

そういえば、『E.T.』では両親が離婚して、
父親が不在となり、非常に寂しい思いをしていた。

そんな、エリオット少年が、ETと出会い、
友情を育む話。

本作では、離婚寸前の夫婦が、
今回の事件を通して、どう変わるのか?
というのが、一つの見所。

家族愛、家族の助け合い。
家族関係の修復。
思春期の多感な心理。
夢の実現。

「下手(べた)なハリウッド映画」
と言えばそれまでですが、
ある意味、それらは「普遍的」なテーマ
なのです。

「家族写真」をアップでうつすシーンが、
何ヶ所かありますが、
それも凝縮した「家族愛」の描写と見えます。

最近は展開が早く、
アクションがド派手な作品が主流。
アクション映画、パニック映画で
「家族関係の大切さ」をじっくり描く
というのは、ほとんどみかけなくなったような・・・。

『オークストリートの異変』は、
ありそうでない作品なのです。

失って、はじめてわかる大切さ。

パートナーの愛情も、
失って、はじめてわかる大切さ。

失う前に気付きたい。

ラストシーンにも、涙があふれます。

本作のもう一つの「問い」は、
「母親」イメージの薄いアン・ハサウェイを
なぜ起用したか?

これも、映画の序盤から気になっていたのですが、
ラストシーンで見事に説明されます。

『プラダを着た悪魔』で、
ジャーナリストとなり、「自分の本を出したい!」
という夢をもっていた「アンディ」。
アン・ハサウェイの代表作と
見事に重なるのです。

家族だけではなく、女性としての自立というテーマ。
今では当たり前ですが、
米国で女性の社会進出、女性の自立が叫ばれ、
法制化されたのが1980年代なのです。

「問い」を立てて映画を見ると、
映画の理解が深まり、
より映画を楽しむことができるのです。

『オークストリートの異変』予告編
https://youtu.be/5d4CbvA3D2U

【全動画プレゼント】
あなたの悩みの95%は解決する。
YouTube「樺チャンネル」の全動画6154本のリストをプレゼント中。
今すぐダウンロードしてください。
https://canyon-ex.jp/fx2334/z6j0NW

コメント

  1. じゅー より:

    樺沢先生、こんにちは。
    映画館で映画を観るのが好きで先生と同年代の女です。
    「オークストリート…」。あまり期待していなかったのですが、良かったです!
    ジュラシックパークっぽい設定かと思いきや、舞台が「街」であることが予想以上にこの映画を
    おもしろくさせていました。広大なジャングルではないため、街の細部で人間がいろいろな恐竜に
    やられているのもシュールな映像でした。家の中をあのビジュアル(ネタバレにならない程度に表現します)の
    恐竜が動き回るシーンは素朴なワクワク感があり、子ども時代に行った「お化け屋敷」を彷彿とさせました。
    1980年代の時代設定も良かった。仕事か家庭かの二択から「仕事も家庭も」に変化する前の時代でした(日本では)。
    私が会社員時代は「結婚したら仕事を辞める」のがデフォルトで、ことぶき退社という、いまでは死語となった言葉
    もあり、「夫の収入で食べていける」のはある意味、女性の勲章のような意味合いだったように思います。
    アン・ハサウェイは「マイインターン」のときから好きになった俳優さんです。
    これからも良質な映画を映画館で観たいです。先生の映画評も楽しみにしています。

  2. ザキ より:

    【ネタバレ】
    初日に行きました。
    実は行く前はあmり期待ゼロでした。

    樺沢先生ご指摘の通り、プラダのアンハサウェイの母親できるんかいと疑問に思っていたからです。

    でも映画を見ると、大量の恐竜は出るし、バックトゥザフューチャーを彷彿をさせる懐かしいアメリカの街並みがあり、公衆電話で電話をかけていて、アナログ感もあって、そしてラストはこれでもかの後の爽快感、ふつうにたくさんの人がいる映画館でハラハラドキドキ、スッキリ!と純粋に楽しめる夏に見るには最高の映画でした❤❤?

コメントを残す

*

CAPTCHA